グループマネージャー

電気設備事業本部
発電インフラ事業部
マネージャー

M.K2018年入社

電気工学科出身。応用数学や電気回路・発変電工学などの電気関連における専門分野を学び、卒業論文は「電解研磨」をテーマに研究。2021年10月よりグループマネージャーとして当プロジェクトをバックアップ。

工事責任者

電気設備事業本部
発電インフラ事業部

T.N2008年入社

知能機械工学科出身。熱力学の研究室に所属し、「熱伝導率」をテーマに研究。施工管理に興味を持ち、大学で学んだことを活かせる当社に入社。当プロジェクトでは工事責任者を担当。

電気工事担当

電気設備事業本部
発電インフラ事業部

T.T2019年入社

生産機械システム科出身。機械工学を専攻し、FA(ファクトリーオートメーション)を研究。家系が建設業に携わっていることから施工管理に興味を持ち当社に入社。当プロジェクトでは主に電気工事を担当。

※2023年2月時点の所属部署・役職名です。

プロジェクトの背景

宮崎県西臼杵郡にある五ヶ瀬川発電所。豊富な水資源を活用した流れ込み式の水力発電所として、1925(大正14)年から約100年にわたり電力を生み出し続けてきた。これまでは補修工事で発電所を維持・保全してきたものの、稼動から長い年月が経過する中で設備の老朽化や耐震性などの面から新たな発電所として生まれ変わらせるプロジェクトが立ち上がった。当社は、老朽化した水車発電機の撤去および新たな水車発電機の据付工事を請け負うこととなり、2019年に工事計画ならびに現地工事がスタートした。

写真 五ヶ瀬川発電所

培った知見を活かして工期短縮を目指す

———五ヶ瀬川発電所には、建屋の中に長年稼動して老朽化した水車発電機が3機設置されている。これらを撤去し新たな水車発電機を据え付ける、いわゆるスクラップ&ビルドが当社に課せられたミッションとなる。本社側で全体の管理を担うM.Kは、当案件の難しさについてこう語る。

M.K

水車発電機を1機更新するのに通常1年ほどかかります。五ヶ瀬川発電所は3機設置されていることから順次更新していくためには3年以上の期間が必要となりますが、当案件は2年半で完工させなければなりません。そのため、1機を工事しながら2機目に着手するなど作業をオーバーラップしながら進めることになったのです。

———工事計画から当案件に携わり、現地で施工管理の主担当を務めたT.Nは、施工者間の調整が特に困難だったという。

T.N

当社が担当したのは水車発電機の更新ですが、発電所の中では土木工事や建屋の付帯設備工事などさまざまな工事が同時に進められています。限られた作業スペースと工期の中で、施工に関わるすべての施工会社と調整しながら、お互いに工事を進めていかなければなりませんでした。

———建屋の中にある天井クレーンは1台。新設の工事となると現地にはさまざまな機器や資材が次々と搬入される。いつ、どのような工事が行われ、何が搬入されるのか。T.Nは、プロジェクトに関わる施工会社の担当者とデイリーミーティングを実施。お互いの進捗を確認し合うなど情報共有に努め、日々の作業調整を綿密に行いながら工程に影響が出ないよう対策を施していった。

100分の1ミリ単位で誤差を防ぐ

———旧来の水車発電機が撤去されると、次は新しい水車発電機の据え付けとなる。しかし、ここでも水車発電機特有の困難な作業が待ち受けていた。

T.N

水車発電機は、軸に付いているプロペラを水力によって回転させることで発電しますが、このプロペラの軸がわずかでも曲がっているとブレが生じてしまい、場合によっては機械と機械が接触するおそれもあります。そのため、水車発電機の据え付けは100分の1ミリ単位で調整する必要があるのです。

———据え付けられた水車発電機に誤差はないか。T.Nは、据え付けが終わった号機の数値がメーカーで定められた許容範囲内にあるか慎重に測定した。

T.N

一回目で基準を満たすこともありますが、満たさない時はどこに原因があるかを探り再度調整します。しかし、原因分析はあくまでも仮説に過ぎず、調整したことで逆に数値が悪くなることもあります。許容範囲内に収めるために根気よく測定と調整を繰り返していかなければなりませんでした。

———このような地道な作業を積み重ね、水力発電所の核となる3機の水車発電機は順々に据え付けられ、組み上がっていった。何もないところから徐々に完成していく姿を見て、T.Nはこの仕事の醍醐味を再認識したという。

発電所として稼動させるために重要な電気工事

———水力発電所にとって水車発電機と並んで重要なのが電気設備だ。電気工事を担当したT.Tは、据付工事が始まってからプロジェクトに合流。水車や発電機などの制御線、動力線の敷設や各盤の設置を行った。

T.T

電気設備も各号機ごとに工程をずらしながら施工する必要がありましたので、工程管理には苦労しました。入社してまだ間もないことや電気工事の担当は初めてということもあり、M.KさんやT.Nさんにアドバイスをいただきながら工事を進めていきました。

———機械工事がある程度終わらないと電気工事に着手することはできないため、機械工事に遅れが生じると電気工事の工程はさらに短くなってしまう。

T.T

水を流す前に電気設備が正常に稼動するか試験するのですが、納期が近づいていたこともあり1台ずつではなく3台同時に試験することになりました。厳しい期間の中での作業でしたが、電気が通って無事にメーターが作動した瞬間はやはり感動しました。

———こうして現地での作業は無事に終了した。T.Nは2年弱、T.Tは半年間常駐し、水力発電所が新しく生まれ変わる姿を現地で見届けた。

地球環境に貢献するプロジェクト

———長期におよぶ現場常駐となったT.NとT.Tは、今回のプロジェクトをこのように振り返った。

T.N

宮崎県の中でも大きな街である延岡市に住みながら現場に通っていましたので、生活上の不便はありませんし、食べ物は美味しくて楽しかったです。ただ、後輩社員と長期で現場常駐することは初めてでしたので指導や育成の難しさを実感しました。自分自身のさらなる成長につなげるためにも、今後はもっと後輩の育成に注力していきたいです。

T.T

機械科出身でしたので電気設備はゼロからのスタートでしたが、M.KさんやT.Nさんに指導していただきながらさまざまなことを学べましたし、半年でしたが貴重な現場経験となりました。

———新しい水車発電機は、旧来のものより効率の改善により発電量が1割増。石炭火力換算で現状比約1.1万トン/年ものCO2排出量の削減に貢献できている。再生可能エネルギーに対する期待が高まっている中、当プロジェクトは地球環境の保全に大きな足跡を残したといえる。

M.K

工期短縮のご要望にしっかりとお応えでき、不適合もなかったことでお客様からも高い評価をいただきました。燃料費の高騰もあってこれから再生可能エネルギーの需要はますます増えていきます。当社の水車発電機据付工事の経験で培ったノウハウや現場の高い調整能力によって、狭所現場における各社を交えた調整会では陣頭指揮を執りながら力を発揮できましたし、何よりも現場を支えてくれたT.NさんとT.Tさんの頑張りがあったからこそです。

———古くなった水力発電所は国内に数多く存在する。当プロジェクトで得た知見と人財の育成は、また次のプロジェクトに生かされていく。

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